NTK赤道儀

→望遠鏡 


 

NTK赤道儀をオーバーホールしたときの様子を紹介します。

1 2021年11月

ヤフオクに出品されていたものを落札しました。
もちろん30cm鏡筒を乗せるためのものです。

NTK(日本特殊光機製作所)のカタログによると25cmまでの鏡筒を乗せているようですが、
30cmでも軽ければ乗るだろうという判断です。

本当はJPかNJP赤道儀を欲しかったのですが・・・

2 赤経の駆動ギヤです。

ホイールギヤはカタログによると
歯数359だと思います。
数えたけど忘れました。

ウォームギヤの軸受けをばらしました。

3 赤緯体を外しました。
ボルト4本取るだけです。

その前にタンジェントスクリューの微動部品を外してからです。

4 赤緯軸は対辺41mmのナットで固定
されています。単管にソケットを取り
付けて外しました。

左画像の奥に見えるのは赤経軸です。

5 ばらして洗浄しました。
テーパーローラーベアリングは
そのままです。
6 赤経軸を外します。

ここは対辺50mmのナットですが、
ウォーターポンププライヤーで緩み
ました。

7 ホイールギヤは幾つかの部品が一体
になっていたのでばらせませんでした。

ウォームギヤにはAZのウレアベース
モリブデングリスを使いました。

8 鏡筒受台です。

丸い部分が赤緯部の上に付く座で、右の四角い部分が微動部品の取り付け座です。

丸い座のボルト穴が上下対称になっていません。間隔もばらばらです。
おまけにボルトのザグリが両面にあります(加工ミスか)。

9 鏡筒受台をアルミ板で作り直します。

アルミ板は20mm厚で、端を15mmと
12mmにしています。
(ここはフライス盤を借りました)

赤緯軸に取り付ける穴は物合わせで
位置を出します。

後はボール盤で加工です。

10 角を少しだけ丸めました。

4箇所M10タップも加工。
NJPの穴位置に合わせました。

11 タンジェントスクリューの現状写真です。

微動ねじの軸受けが、片方がばか穴に
なっています。
ちょっと驚きましたが、送り方向のガタ
は無いので問題ないと納得します。

ただそれ以外のがたが大きすぎです。

赤経軸にもタンジェントスクリューの部
分微動が付いているのでぐらぐらです。

このままではまともに使えません。

12 赤経・赤緯ともほとんど同じです。

画像の右側が現行(旧)部品。左側が改造(新)部品です。
下から◎コネクティングピース。○コネクティングボルト。□ムービングピースという名称にして
説明します。

ガタの一番の原因は、ムービングピースにコネクティングボルトM10をねじ込んでもしっかり固定され
ないのでぐらつきます。ムービングピースにすり割が入っているが、締めてもバックラッシュがある。

改造部品では、コネクティングボルトをM6ボルトと9mmカラーにし、ボルトをしっかり締め付ける
ようにしました。
ムービングピースはすり割りでなく2分割にしてボルトで一体にし、ドリル〜タップM16p1を加工
しましたが、ネジ部が長すぎて微動ねじが途中までしか入らず、タップを押しながら切って入るよ
うになりました。

13 コネクティングピースの幅をペーパーで削って合わせました。
14 これで組んだら動きませんでした。

微動アームの長円の穴が傾いていて、
ボルトを締めるとコネクティングピースが
穴に挟まってしまいます。

水平、垂直は出ていることが当たり前だ
と思ってました。

とりあえず厚さの半分位までを逃がして
組みました。
がたはほとんどなくなりました。

15 2022年1月

長円穴の傾きを調べてみました。

正確には測れませんが、どちらも3度
位傾いています。

コネクティングピースを3度傾けて作り、
交換しました。

 

この赤道儀はいくつか問題もありましたが、私は結構気に入ってます。
タンジェントスクリューによるぐらつきは、加工精度と構造が原因と思いますが、そこまで手がかけられなかったのでしょう。
極軸周りは精度よくできていると信じています。本体はアルミ鋳物でできていて、ボルト、ウェイトシャフト、微動ねじもステンレスと思われます。
錆の発生はほとんどありません。モーターもついているので、眼視には十分でしょう。

     

終わり